奥大井湖上駅に次に来た列車に乗り、さらに山奥に進む。
そして降り立ったのが…
これは砂場ではありません。
駅です。
信じられない方のためにもう一度言うと、駅です。
尾盛駅は、周辺に民家はおろか、駅に到達する道すら存在しない(徒歩でも不可)という究極の秘境駅である。反対側に線路の剥がされた廃ホームがあるがこちらは木材運搬用である。
旧貨物ホームには信楽焼のタヌキと、保線小屋がある。保線小屋は熊が出たときの避難用に開放されており、中には駅ノートがある。
駅の近くにはボロボロに朽ち果てた林業小屋が。かつてはここにも文明があった証である。尾盛駅はこのように秘境駅探訪目的以外での利用価値が皆無の駅だが、井川線自体がダム補償のため中部電力から赤字補填されているため、廃止されることは当面ないと思われる。
閑蔵駅で折り返してきた列車に乗り(閑蔵~井川間は災害のため不通だった)、一つ手前の接岨峡温泉駅で降りる。味のある駅舎が特徴的だ。
駅南側から見るとまるで林鉄のようだ。
…って、林鉄に乗ったことがあるわけではないが。
さて、先を急いで南アルプス接岨大吊橋へ。なぜ急いでいるかというと、次に来る列車の時刻の都合で、この先標準70分の周回ハイキングコース(接岨峡温泉駅までの往復を含むと約90分)を60分で踏破する必要があるからだ。
余談だが、IMEでせっそきょうと入れると接阻峡と変換されるが、正しくは接岨峡である。接岨峡温泉駅は正しく変換される。
吊り橋はしっかりとした作りであまり揺れない。これは原作通りだ。
そして、吊橋を渡りきった先から八橋(やっぱし)小道ラブロマンスロードが始まる。
やっぱしラブロマンスロードってこたーないでしょー。
さて、一つ目の橋は案内とは逆に右に進まないとたどり着けない(そのため原作では「七つしか渡ってなくない?」と困惑している)。
これが本当の一の橋である欅橋。緑に浸食されている。
欅橋を渡り切り、足早に引き返す。
八橋小道はこのような道が続く。アップダウンは多くないが、小道という名前とは裏腹に立派な山道なので最低でも運動靴は必要だ。
そんな八橋小道を小走りで駆ける。
栃の木橋。ミニ吊橋だ。
桜橋。
水楢橋。原作では雨の後ということで水浸しになっており、欄干につかまって歩いたところだ。
今更だが、私は純粋に観光を楽しむこと、現地の空気感を味わうことを優先しているので、漫画やアニメと同じ構図で写真を撮ることには必ずしもこだわっていません(多少は意識しますが)。
椿橋。ここだけよく見る形式の橋だ。
桑の木橋。もはやただの階段。
そして見えてくるのが八橋小道のメイン、宮沢(みやんざわ)橋。
見る角度によっては本当にすべり台のように見える!原作通りだ!ここは感動ポイントだ。
実際はもちろんすべり台ではなく、階段となっている。階段式吊橋では日本一長いそうだ。昨日の蓬莱橋といい、大井川にはすごい橋がたくさんあるぞ!
八橋のラストは犬返り橋。先ほどの宮沢橋と対になってバランスを取っている。
公園に出て八橋小道は終了。ラブロマンスを感じている余裕などなく小走りで接岨峡温泉駅に向かう。
何とか間に合った!これを逃すと2時間以上足止めとなるので助かった。熱中症寸前なので井川線に乗りながら十分に休んだ。
part4に続く