のら松の旅日記(ブログ版)

鉄道・登山・県道標識収集の総合旅行記

芳賀・宇都宮LRT開業のファーストインプレッション

8月26日に芳賀・宇都宮LRTが開通した。

完全新規の路面電車という目新しさに注目されがちであるが、本路線は宇都宮市だけにとどまらず、地方都市における公共交通の未来がかかっていると言っても過言ではない。なぜならば、本路線が成功しなかったら他都市が追随する可能性が非常に低いからである。

鉄道系ユーチューバーをはじめ、路線の経路の設定については絶賛の嵐である。

本命の工業団地へのアクセスはもちろん、今まで車に依存していたであろうゆいの杜地区の生活利用、沿線の高校や大学の通学、大型商業施設へのアクセス、グリーンスタジアムや清原球場のイベント需要と、多方面の需要をまんべんなく抑えている。宇都宮がうまくいかなかったら日本においてLRTが普及する可能性が低いであろう。

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開業当日、発車式の整理券をもらって観覧したが、駅東口は予想以上の盛り上がりで驚いた。

実際に乗車したのは翌日の27日(日)だが、私を含め記念乗車で終点まで乗り通す人が多かった。しかし、途中駅での乗り降りが予想以上に多く、すでに日常利用に使われていることに驚いた。

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特に、宇都宮駅東口〜宇都宮大学陽東キャンパス前(ベルモール前)までの区間利用が多く、すでにベルモールへのアクセス手段として認知されていることに驚いた。帰りの電車では宇都宮大学陽東キャンパス前からの大量乗車で、都内の朝ラッシュ並みのぎゅうぎゅう具合になったほどだ。また、意外と飛山城跡からの乗車もあり、パークアンドライドが認知されているようだった。

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28日夜にも、仕事の関係で遅めの時間になってしまったが清原地区を訪れてみた。清原地区市民センター駅からパークアンドライドで乗車し、芳賀・高根沢工業団地まで往復。下りはゆいの杜地区の日常利用があった。帰りは工業団地からの帰宅客がそこそこ乗っていた。開業後最初の平日なのに日常利用がしっかりあるのも驚きである。

驚きっぱなしとなってしまったが、開業直後は鉄道オタクと記念乗車しかいないだろうと思っていたので嬉しい大誤算である。

 

ここまでいいことばかり書いてきたが、もちろん問題点もある。深刻なのは現金収受による遅延問題である。もう少し落ち着いても改善しないようであれば早急な対策が必要と感じた。定時運行という公共交通の根幹が崩れてしまってはLRT離れが進んでしまうであろう。あと、細かいことを言えば非常停止ボタンが押しやすすぎる場所にあるとか、停留所にロケーションシステムがないとかいろいろあるが。

 

また、本路線に限った話ではないが、LRT開業によりものすごく便利になった地域と、逆に不便になった地域がある。

一番の勝ち組は、これまで公共交通が皆無だったのにいきなり昼間でも10分に1本のアクセスを得た飛山城跡停留所周辺であろう。

次の勝ち組は今までバスの本数も多くなく車に依存していたと思われるゆいの杜周辺だ。

ベルモールも今回の件で相当知名度を上げたと思われ、車の使えない高校生なども訪れやすくなり売り上げが上がりそうだ。

隠れた恩恵を受けているのが岡本地区で、バス路線再編で岡本駅〜ベルモール線が新設されベルモールに行きやすくなった。JR・LRT乗り換えと運賃面・時間面でどちらが有利かは後ほど調査したい。

ゆいの杜と明暗が分かれたのが清原台だ。もともとバス1本で宇都宮に行けていたのが、必ず乗り換えが必要となった。循環バスが新設されたが1時間に1本と日常利用は厳しい。LRTも定時運行ができていないと待ち時間もかさむのがきつい。SNSで(もともと反対派ではない)不満の声が時折見られるが、こういった住民の声と思われる。特に、清原台から宇都宮駅西口方面に行っていた人は、今まで1本で行けてたのに2回乗り換えが必要となった。

同じ理由で芳賀町の祖母井地区も厳しい状況だ。こちらも、作新学院線~芳賀TC~茂木駅のバスは残るものの、残りは芳賀町工業団地管理センター前止まりとなり、宇都宮駅に直通しなくなった。

※バスに関する記述を一部修正しました

これらのフィーダー路線の利便性・所要時間などはLRTの混雑が落ち着いたら検証したい。