のら松の旅日記(ブログ版)

鉄道・登山・県道標識収集の総合旅行記

男抱山(おただきやま)

旅をした日:2005/11/23

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↑手前に見える双子のような山が男抱山(右側)と富士山(左側)。奥に壁のようにそびえるのは半蔵山。

 

所在地:栃木県宇都宮市
比高:150m
クサリ場・ハシゴ:ロープあり
藪・茨:なし
難易度:初心者向け

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男抱山は宇都宮市北西部にそびえ、手軽に登れて展望のいい山として人気の山である。また、地元ではきし江という乙女の悲恋伝説が語り継がれている。少し長いがほぼ全文を掲載する。

 

昔々、奥州街道白沢宿に、きし江とよぶ美しい乙女が住んでいました。
ある日、日光街道徳次郎宿の西根に江戸から甚九郎という男が移り住み、そ の後ときおり白沢宿へ呉服の行商にやってきました。
きし江は彼と相知り、彼を一途に思いつめるようになりました。きし江は、白沢から申田山峠を越え徳次郎まで、三里の道を通い続けるようになりました。

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↑申田山峠。旧宇都宮市と旧河内町の境だった。県道73号が通る。

 

きし江は、恋の思いの数々を、いくつもの巻紙に書いて、宿の高台に登り、それを燃やし、密かに心を慰めていました。巻紙からは不思議と紫色の煙が立ち昇り、甚九郎は男抱山の頂から遥かにそれを望み、恋心を確かめることができました。

たまたまきし江の家に出戻りの姉が居て、妹の毎日やっていることを不審に思い、恋文を盗み読んで、 巻紙に少し水を注ぎ、よく燃えないようにしておきました。

 

それとは知らず明くる朝、いつものように 巻紙を燃やしましたが、白い煙ばかりが立ち昇りました。それを見た甚九郎は、きし江の心変わりと考え、荷をまとめ江戸に旅立ってしまいました。
きし江は事の以外に驚き、かけつけましたが、甚九郎の姿はありませんでした。

彼女は嘆きのあまり三日三晩飯もとらず、男抱山の山頂の露と消えました。
村人たちはきし江の純情に同情し、山頂に祠を建て、悲恋の乙女を懇ろに弔いました。
女性が秘かに詣でて、山頂からかなわぬ想いの相手の方向を望めば、不思議とその恋の思いは届くと伝えられ、今でもその信仰は絶えないといわれています。
男抱山は、下徳次郎、西根のおくの静かな山であります。

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あくまで「伝説」なのでいま読み返したら突っ込みどころが多々あるが、一つだけ言うとすると、山頂から白沢方向を見て煙を目視するには相当な視力が必要だろう。後に掲載する写真を見ればそれがよくわかる。

 

登山口からは平坦な道を行き、約5分で分岐に着く。三方向に分かれていて、左に行くと富士山、右に行くと男抱山、直進するとその二つの山の鞍部を経て半蔵山に至る。

今回は右折。まずは金毘羅宮への階段を上る。上りきると急な上り坂となり、休憩しながら登ると立派 な石祠に着く。心なしか、お賽銭は5円玉が多いように見えた。現在も残る信仰の表れだろうか。

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ここからはいったん緩やかな道となるが、山頂直下は岩の間をよじ登るようになる。ここには天を突くように長い岩がある。私はこれを男抱観音と命名した。また、岩のくぼみには小さな祠もある。

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岩場を登りきると男抱山山頂だ。360度の展望が得られ、標高338mとは思えないほどの展望だ。南側には宇都宮市街と郊外の田園が広がり、西には多気山、雲雀鳥屋、古賀志山、北西には
鞍掛山、半蔵山、北東には篠井富屋連峰が見える。きし江さんの話を考えると、悲しくなってくるほどの展望だ。

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多気山(左)と雲雀鳥屋(右)。

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宇都宮市街地方面。奥には筑波山も見える。

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↑篠井富屋連峰。

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笠松山とその南に広がるなだらかな稜線。この右奥に白沢地区がある。

 

さて、次は富士山だ。まずは急な岩場を降りる(ロープがついている)。ここをちょっと苦戦しながら降り、その後はやや急な道を下りきって鞍部に着いた。ここを横切る道もあり、右に降りると半蔵山へと続いている。

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富士山(343m)へは、5分ほどの急な登りで到着できる。富士山山頂からも、360度の展望が得られる。私たちはここで昼食をとった。

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↑富士山頂直前の岩場。

 

いよいよ下山となる。岩場を降り、そのあとはゆっくり下った。途中に岩場があるが、ここには巻き道がある。下りが急になるとラストスパートだ。下りきって、丸木橋を渡ると最初に来た分岐に着いた。あとは行きと同じ道を戻り、登山口に着いた。

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↑富士山頂の松。

 

歩行時間 55分
登山口(5分)分岐(20分)男抱山(10分)富士山(20分)登山口